CBDオイルは、「リラックス効果がある」「肌荒れが改善する」「不眠症改善に効く」など、美容・健康へのさまざまな効果が期待されています。最近では、CBDオイルを使った化粧品やサプリメントが、勢いよく広まりつつあります。
しかし、CBDオイルの原料となる大麻は、日本国内において違法薬物に指定されている植物です。大麻と聞くと、中毒性があって危ないというイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。とはいえ、大麻のすべてが危険で規制されているわけではありません。成熟した茎や種子は、合法的に使える部位です。
こちらの記事では、大麻のどこからどこまでが違法なのか、日本の大麻規制の歴史などの観点から説明していきます。
CBDオイルが違法は誤解。合法です
原料が大麻と聞くと、違法で危険なものというイメージを持つ方もいるのではないでしょうか?結論からお伝えすると、「CBDオイルは大麻から作られているから違法」というのは誤解です。
CBDオイルに中毒性や依存性はありません。さらに、CBDオイルに含まれるCBD(カンナビジオール)には、抗炎症作用や抗酸化作用などがあると認められています。美容や健康への効果が期待でき、実際にスキンケア製品や食品の原料として使用されています。
日本国内でCBDオイルを規制する法律はないため、合法的に使用できます。
大麻取締法で違法となるのは大麻の花や葉
それでは、ニュースなどで目にする大麻使用による逮捕報道はどういうことなのでしょうか?
日本には、1948年(昭和23年)に施工された「大麻取締法」という法律があります。大麻取締法の第一条で、規制対象となる大麻の部位が説明されています。
以下、<大麻取締法 第一条>の条文です。
“第一条 この法律で「大麻」とは、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいう。ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品を除く。”
引用:https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=81108000&dataType=0&pageNo=1
つまり、大麻規制法において、成熟した茎と種子は規制対象外です。
違法:花・葉・根
合法:成熟した茎・種子
「大麻=すべてが違法」というわけではありません。
CBDオイルは、大麻の種子や熟成した茎から抽出したものです。原料に大麻の花や葉、根は使用されていないので、法律の規制対象から除外されています。
大麻の逮捕報道は、大麻の花や葉の部分の所持・栽培・譲渡などに関するものなのです。
日本の法律では医療用大麻も違法
現在、大麻は美容や健康だけでなく、医療分野でも注目されています。
大麻には、鎮痛作用・鎮静作用・抗癌作用などがあります。さらに、HIV・うつ病・てんかんなど、約250種類の疾患に効果があるという論文も出ています。
カナダやイギリス、ドイツなどの欧米では、医療用大麻を認めている国が少なくありません。近年では、タイや韓国などアジア諸国でも医療用大麻を解禁する国が増えています。
しかし、日本では、成熟した茎や種子以外は医療目的であっても、使用が認められていないのが現状です。
以下、<大麻取締法 第四条>の条文です。
“第四条 何人も次に掲げる行為をしてはならない。
一 大麻を輸入し、又は輸出すること(大麻研究者が、厚生労働大臣の許可を受けて、大麻を輸入し、又は輸出する場合を除く。)。
二 大麻から製造された医薬品を施用し、又は施用のため交付すること。
三 大麻から製造された医薬品の施用を受けること。
四 医事若しくは薬事又は自然科学に関する記事を掲載する医薬関係者等(医薬関係者又は自然科学に関する研究に従事する者をいう。以下この号において同じ。)向けの新聞又は雑誌により行う場合その他主として医薬関係者等を対象として行う場合のほか、大麻に関する広告を行うこと。”
引用:https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=81108000&dataType=0&pageNo=1
以上の通り、日本国内では依然として、大麻の研究や治療への使用が厳しく規制されています。
THC(テトラヒドロカンナビノール)は規制対象
上記のように、大麻はCBDオイルや医療用大麻など、美容や健康のために活用できます。それでは一体、大麻の何が危険とされ、規制されているのでしょうか?
おそらく、大麻が危険と考えられるのは、「大麻を吸うとハイになる」「幻覚を見る」などというイメージからではないかと思います。
実際に、大麻に含まれるTHC(テトラヒドロカンナビノール)には、気分を高揚させる精神作用があります。用法・用量によっては、不安感やパニック症状を引き起こす可能性も。嗜好用大麻に3〜25%含まれ、大麻を吸ったときにトラブルを引き起こす原因となり得ます。
一方で、CBD(カンナビジオール)には、気分を高める精神作用はありません。むしろ鎮静作用によるリラックス効果が期待できます。
THCは大麻の葉と花に含まれています。先ほど、大麻の成熟した茎・種子は規制対象外と述べましたが、THCに関しては、成熟した茎や種子から抽出している場合でも違法です。THCは茎や種子にも含まれていますが、大麻のどの部分からできた製品か、判断できないためです。
しかしながら、THC=有害で危険な成分というわけではありません。海外では、痛みの緩和やけいれんの抑制、食欲増進などに効果があるという臨床試験結果が報告されています。疾患によっては、有用性があると考えられます。
また、アメリカやEUでは、少量のTHCを含んだCBDオイルが認められています。対して、日本ではCBDオイル中にTHCが検出された場合、規制対象となります。海外旅行時や個人輸入で購入する場合はご注意ください。
CBDとTHCの違いは?安全のために作用と効果・副作用をしっかり理解しよう - Go Slow |
GHQの占領政策による大麻規制の歴史とは
海外と比較して、日本の大麻規制が厳しいことには特殊な事情があります。
実際のところ、戦前の日本で大麻は衣・食・住・医療などに幅広く利用されていました。日本の大麻の歴史は、縄文時代までさかのぼるほど古く、神事や祭事の道具としても重宝されてきたのです。
ところが、日本の敗戦後に突如、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)主導で大麻が禁止されました。その理由には諸説ありますが、大麻取締法については立法目的の記載がありません。そのため、法律制定の経緯や妥当性に疑問が残るところです。
1948年の制定以降、法律の見直しが行われず、今でも厳しい規制が続いています。
規制緩和が進む海外の大麻事情
大麻の科学的な有用性が明らかになってきたことで、多くの国が大麻規制の緩和を進めています。現在、医療用大麻は世界の30カ国以上で合法です。
さらに、カナダ・ウルグアイ・南アフリカ・アメリカの一部の州では、医療目的だけでなく、娯楽用の大麻も合法化されています。
今後、さらに多くの国や地域で大麻の規制緩和が進んでいくと考えられます。
まとめ
「CBDオイルは大麻が原料」と聞くと、危険なイメージを持つかもしれません。しかし、大麻の成熟した茎や種子の使用は法律で規制されていないため、大麻のすべてが危険というわけではありません。
大麻には、鎮静作用や抗酸化作用などが認められています。そして、CBDオイルや医薬品といった、美容や健康に役立つ活用法が注目されています。
日本では、戦後に制定された「大麻取締法」により、医療目的の大麻使用であっても厳しく規制されているのが現状です。しかし、CBDオイルは大麻の成熟した茎や種子を原料としており、違法性はありません。今後は、大麻の正しい知識が見直され、CBDオイルや大麻の活用が徐々に身近になっていくことでしょう。