カンナビジオール(以下CBD)には、睡眠改善や鎮痛作用など様々な効果があることが研究によって分かっています。
CBD単体でもそういった効果を得ることができますが、他のカンナビノイドなどと一緒に摂取すると、その効果が増幅されることをご存知でしょうか。
その効果のことを「アントラージュ効果」といいます。
今回は、アントラージュ効果について徹底的に解説していきます。
アントラージュとはどういう意味?
アントラージュ(Entourage)はフランス語であり、その意味は「側近・環境・周囲」といった意味があります。
そのままの意味ではよく分からないかもしませんが、アントラージュは連携や協力を指すことが多いです。
話題の東京オリンピックでも「アントラージュ」ということが使われ、アスリートがパフォーマンスを最大限発揮できるように連携協力する関係者と定義されています。
つまり、大麻でいうところの「アントラージュ」は、大麻に含まれるCBDやTHCなどのカンナビノイド・ビタミン・テルペンなど大麻成分が連携協力することで、大麻の効果を最大限に発揮することを意味しています。
大麻でのアントラージュ効果
大麻にはTHCやCBD以外にもCBN・CBGなどのカンナビノイドや芳香族化合物であるテルペンなど様々な成分が含まれます。
アントラージュ効果は大麻成分の組み合わせの分だけ存在するため、その数は計り知れません。
今回は、代表的なアントラージュ効果に絞って解説します。
THCとCBDによるアントラージュ効果
テトラヒドロカンナビノール(以下THC)は、精神活性作用がある大麻成分です。
THCを摂取すると精神活性作用により、多幸感や高揚感を味わうことができます。
また、THCには鎮痛作用や鎮静作用もあるため、慢性的な痛みを抑えたり、リラックスすることができます。
しかし、THCを摂取すると、副作用が生じてしまう場合があります。
THCの主な副作用は以下の通り。
- 集中力の低下
- 嘔吐
- 眠気
- 不安
- めまい
- 口渇
THCではこういった副作用が生じますが、CBDとTHCを同時に摂取すると、アントラージュ効果によってTHCの副作用が減少することが分かっています。
Dr.Steven Laviolette氏らの研究チームは、ラットを用いてTHCの神経精神作用を引き起こす細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)と呼ばれる脳の海馬内の分子を調べました。
THCを投与したラットは活性化されたERKレベルが高くなり、THCの副作用である不安行動が多くなりました。
一方、CBDとTHCの両方を投与したラットは活性化されたERKレベルは正常レベルと変わらず、THCの副作用である不安行動が少なくなりました。
この結果から、CBDが海馬のERK回路を刺激するTHCの能力を阻害し、THCの副作用を抑えたことが考えられます。
このようにTHCとCBDのアントラージュ効果によって、THCの副作用を抑えることができるのです。
CBDとテルペンのアントラージュ効果
テルペンとは芳香族化合物で、特徴のある芳香を持った分子です。
私たちが果物や自然で感じる「香り」はテルペンによるものです。
レモンやオレンジなどの柑橘系の香り、スギやヒノキの心地いい香り、ミントやメンソールのスカッとする香りもすべてテルペンによって発せられるもの。
大麻にも様々な種類のテルペンが含まれています。
含まれている主なテルペンは以下の通り。
- リモネン
- カリオフィレン
- ミルセン
- ゲラニオール
その他にも多くのテルペンがあります。
テルペン自体にも様々な効果があることが分かっています。
- リモネン:抗炎症作用・抗がん作用。
- カリオフィレン:抗炎症作用・抗酸化作用。
- ミルセン:殺菌作用・抗菌作用・抗酸化作用・鎮痛作用。
- ゲラニオール:抗菌作用・抗真菌作用・抗炎症作用。
CBDとテルペンもアントラージュ効果が期待できます。
特にミルセンとCBDの関係性は明確になっており、研究によるとミルセンが血液脳関門に作用することで、CBDがスムーズに通過・吸収されるようになります。
アントラージュ効果の研究報告
2015年に発表されたイスラエル研究チームの研究によると、疼痛治療においてCBD単独では釣鐘状の用量反応を示すことが分かりました。
CBD単体の用量を増やしてくと、一定量まで鎮痛作用がありますが、その用量を超えてしまうと鎮痛効果は低下してしまうのです。
しかし、他のカンナビノイドやテルペンを含んだCBDを投与してみると、CBDの用量が増えれば触れるほど、その効果は増加していくことも判明しました。
つまり、他のカンナビノイドやテルペンをCBDと同時に摂取することで、アントラージュ効果によってCBDの持っている効果をさらに引き出すことにつながるのです。
つまり、CBDを使用する際は他のカンナビノイドやテルペンが配合された製品を利用するようにしましょう。
アントラージュ効果を得るためのCBD製品の選び方
それでは、アントラージュ効果を得るためにはどのようなCBD製品を選ぶ必要があるのでしょうか?
いくつかのポイントに分けて解説します。
ポイント①:ブロードスペクトラムCBD製品を選ぶ
CBD製品には主に3つの種類があります。
- フルスペクトラム:大麻のすべての成分を含む製品
- ブロードスペクトラム:THCのみを除去した製品
- アイソレート:CBDのみを含む製品
アントラージュ効果を得るためには、CBD以外にもカンナビノイドやテルペンが含まれている必要があります。
そのため、フルスペクトラムもしくはブロードスペクトラムCBD製品を選ぶようにしましょう。
ただ、日本ではTHCを含むCBD製品は法律によって禁じられています。
そのため、THCのみを除去したブロードスペクトラムCBD製品を使用するようにしてください。
THCによるアントラージュ効果は期待できませんが、それでもアイソレートよりも効果を期待できます。
フルスペクトラムCBDは違法でブロードスペクトラムCBDは合法? - Go Slow |
CBDのみの抽出!CBDアイソレートの概要と使い方 - Go Slow |
ポイント②:大麻から直接抽出した製品を選ぶ
CBD製品の中にはCBDアイソレートに後からテルペンなどを加えた製品もあります。
そういった製品でもアントラージュ効果は期待できますが、大麻本来のアントラージュ効果は発揮できない可能性があります。
そのため、大麻から直接抽出し、抽出物に後から手を加えてない製品を選ぶようにしましょう。
そうすれば、大麻そのものにより近い成分構成となっているため、CBDの効果を最大限引き出すことができます。
ポイント③:吸収しやすい摂取方法で摂取する
アントラージュ効果でCBDの効果が上がるといっても、摂取方法でCBDの吸収率は大きく違います。
摂取方法には吸入摂取・経口摂取・皮下摂取などがありますが、CBDを最も吸収しやすいのは吸入摂取です。
吸入摂取であれば、CBDの20~30%が体内に吸収されるといわれています。
そのため、アントラージュ効果を最大限得るためには、吸入摂取用のCBD製品にしましょう。
吸入摂取ではCBDリキッドを用います。
CBDリキッドを専用のVAPEに入れて加熱することによって気化させ、それを吸入するのです。
最近ではCBDショップも全国各地に増えているので、分からない場合はそのようなショップに行き、店員に相談してみてください。
アントラージュ効果でCBDの効果を最大限引き出そう
意外と知られていないアントラージュ効果。
CBD単体でも効果はありますが、アントラージュ効果を用いればCBDの効果を最大限に引き出すことができるようになります。
アントラージュ効果を得るためには、他のカンナビノイドやテルペンが重要。
CBD製品を購入する際にはブロードスペクトラムCBD製品を選び、体内に最もCBDを吸収できる摂取方法で使用するようにしましょう。