世界各国の大麻合法化に伴い、注目を浴びているのがCBDです。
CBDは精神活性作用がなく、安心して摂取することができます。
日本の法律でも合法であるため、国内でも様々なCBD製品が販売されています。
CBD製品を探していると、「アイソレート」という単語を見聞きした人は多いのではないでしょうか。
しかし、この名前だけを聞いてもどういったものか想像できない人は多いかもしれません。
今回は、CBDアイソレートの概要、製造方法などを解説していきます。
ぜひ参考にしてみてください。
CBDアイソレートとは?
CBDアイソレートとは、99%が純粋なCBDで構成されている製品のことです。
アイソレートとは、英語で「分離」、「単離」という意味があり、その名前の通りCBDだけが分離されていることを指しています。
CBDアイソレートは、精製する際にはCBD以外のカンナビノイド、テルペン、ミネラルなどを徹底的に除去します。
そのため、精製過程において水分なども除去されるため、CBDアイソレートは無味無臭で、白色の粉末に姿を変えています。
詳細な使い方は後述しますが、基本的には飲料や食品に混ぜたり、そのまま舌下にいれて服用するなど様々な使い方があります。
CBDアイソレートは大麻製品を使い始めた人やTHCによる陶酔感が苦手な人におすすめです。
過剰に摂取したとしても副作用もほとんどなく、様々な製品に混ぜて使用できるためです。
また、CBDアイソレートは他のタイプであるフルスペクトラムCBDやブロードスペクトラムCBDに比べて、安価です。
実際にアイソレート製品とフルスペクトラム製品を比較してみると、価格が倍近く異なってきます。
その理由としては、含まれている成分が関係してきます。
アイソレート製品はCBDのみしか含まれていませんが、フルスペクトラム製品はCBDの他にCBN、CBG、THCなどのカンナビノイド、テルペン、ミネラルなど様々な成分が含まれています。
さらに、フルスペクトラム製品は様々な成分の相乗効果(アントラージュ効果)により、CBDの効果が高まります。
そういった効果の違いや含まれている成分の多さに比例して、価格が異なっています。
CBDアイソレートはどうやって製造する?
CBDアイソレートはCBDが主成分ということですが、どのように製造されているのでしょうか。
ここからは、CBDアイソレートの製造方法を見ていきましょう。
製造方法をステップごとに解説していきます。
- ステップ1:抽出
- ステップ2:脱ろう化
- ステップ3:蒸留
- ステップ3-1:脱炭酸
- ステップ3-2:減圧蒸留
- ステップ4:再結晶
ステップ1:抽出
まず、大麻草から大麻成分が濃縮された液体を作成しなければいけません。
そのためには抽出という工程が必要です。
抽出するためにはブタンやプロパンのような炭化水素系溶剤を用いるか、エタノール系溶剤のいずれかを用います。
ただ、溶剤を用いた抽出は溶剤がそのまま残ってしまう可能性があるため、現在では超臨界CO2(二酸化炭素)という抽出方法が用いられています。
超臨界CO2抽出法とは、CO2に圧力と温度を加えることにより、気体と液体の中間である「流体」状態にします。
その中に大麻草を入れると、大麻草のテルペンやカンナビノイドが流体に浸透して溶け出します。
そして、流体の圧力を戻すことでCO2を気体状態にすると、大麻成分が溶けた抽出物が得られるのです。
超臨界CO2抽出法は低温抽出が可能であるため、熱に弱い大麻成分を損なう心配がないというメリットもあります。
そのため、現在はこの抽出方法が主流となっています。
ステップ2:脱ろう化
抽出物から脂肪分、ろう、葉緑素を取り除く工程が脱ろう化です。
抽出物にエタノールもしくは特殊な試薬を混合して、氷点下まで冷却します。
冷却することで濃縮液の上部に余分な脂肪分やろう、葉緑素が溶出されます。
引用:https://precisionextraction.com/2020/09/how-to-make-cbd-isolate/
その分離した状態でフィルターを用いてろ過すると、分離した脂肪分などが除去されます。
引用:https://precisionextraction.com/2020/09/how-to-make-cbd-isolate/
この工程は、その後の工程である蒸留で純度が高いCBD得るために重要となります。
この工程で脂肪分などを除去できないと不純物が混じってしまい、CBDの純度に影響します。
なお、ステップ①の抽出にてエタノール抽出を行うと、その段階で脂肪分などは抽出されないため、この工程は不要になります。
ステップ3:蒸留
さて、いよいよCBDを取り出す蒸留という工程になります。
蒸留とは、様々な物質の沸点の違いを利用して、目的物を分離する方法のことです。
中学の理科で実験したかと思いますが、例えば水とエタノールの混合液を蒸留してエタノールのみを取り出す場合、水の沸点は100℃、エタノールの沸点は78.3℃ですから、エタノールの沸点まで温度を上げることでエタノールは気化されます。
その気体を集めて冷却することで、純度の高いエタノールを得ることができます。
CBDも沸点の違いがあるので、この蒸留という工程で純度の高いCBDを取り出します。
ステップ3-1:脱炭酸
しかし、いきなり蒸留しても純度の高いCBDを得ることはできません。
CBDの純度を高めるために、脱炭酸を行う必要があります。
脱炭酸とは、抽出物を加熱することで化合物から二酸化炭素が抜け落ちる反応のことです。
抽出物に含まれているCBDAと呼ばれる物質はCBDの構造に二酸化炭素がついている構造になっているため、脱炭酸することでCBDAがCBDに変化し、CBDの純度が高めることができます。
引用:https://precisionextraction.com/2020/09/how-to-make-cbd-isolate/
ステップ3-2:減圧蒸留
減圧(真空)蒸留にてCBDを取り出します。
減圧蒸留する理由は、主に2つあります。
1つ目の理由は、酸化による成分の変形を起こさせないようにするためです。
酸素が含まれている空気中で加熱すると、酸素と結合してしまい、成分の酸化が促進されています。
CBDが酸化してしまうと本来のCBDの効果を発揮することはできません。
そのため、CBDを蒸留する際にはポンプで空気を吸い込むことで真空に近い状態を作り出し、無酸素状態で加熱蒸留することでCBDの酸化を防ぐことができます。
2つ目の理由は、純粋なCBDは沸点が高いからです。
CBDアイソレートは常温では固体です。
つまり、CBDを高温で加熱しないと固体から液体、液体から気体と状態が変化しません。
しかし、高温で加熱してしまうとCBDが変形し、CBDの本来の効果を失ってしまいます。
そこで、減圧することでCBDを気化しやすくするのです。
物質は圧力が下がると、その物質の沸点も低下することが知られています。
よって、減圧することでCBDの沸点も下がるので、CBDを変形せずに取り出すことができるのです。
ステップ4:再結晶
蒸留が終わったら、いよいよ再結晶を行います。
再結晶とは、物質の溶剤に対する溶解度(溶けやすさ)の差を利用して結晶性物質を生成することです。
蒸留で純度が高まっていたとしても、再結晶をしないとCBD単体を得ることはできません。
再結晶では、不純物がよく溶けて、CBDが高温で溶けやすく室温で溶けにくい溶剤を用います。
CBD精製に用いられるのはペンタンやヘキサンなどの溶剤です。
先ほど蒸留した濃縮液にこれらの溶剤を溶かし、加熱します。
加熱すると濃縮液内にある個体も完全に溶けて、溶液になります。
その溶液を冷却していくとCBDが沈殿して析出されるのです。
不純物は冷却したとしても溶剤に溶けているため、あとはろ過すればCBD単体を回収することができます。
これを何度か繰り返して沈殿物を洗浄し、乾燥することで純度が高いCBDを得ることができます。
CBDアイソレートの使い方
先ほどの製造方法においてCBDアイソレートが純度が高いCBDであることが分かってもらえたと思います。
では、CBDアイソレートはどのようにして使えばいいのでしょうか。
ここからは、CBDアイソレートの使い方をご紹介します。
主に以下の3つの使い方があります。
- 飲食物に混ぜる
- CBD製品に混ぜる
- 炙って吸入する
それぞれの使い方を見ていきましょう。
使い方①:飲食物に混ぜる
CBDアイソレートは無味無臭の粉末であるため、食べ物や飲み物に混ぜても問題ありません。
コーヒーや紅茶に溶かして飲むのもよし、クッキーやスイーツにかけて食べるのもよし。
また、直接口に入れて摂取する方法もおすすめです。
CBDアイソレートを口に含むと、すぐに溶けます。
ただ、すぐに飲み込んでしまうとCBDが十分に吸収されないため、舌下にCBDアイソレートを入れ、舌下の血管からCBDを吸収させるようにするとロスが少なく、CBDを体内に取り込むことができます。
使い方②:CBD製品に混ぜる
CBDアイソレートの最も主流な使い方です。
販売されているCBDオイルやCBDリキッドなどにCBDアイソレートの粉末を混ぜることで、CBD濃度を高めることができます。
また、CBDオイルやCBDリキッドがフルスペクトラムタイプであれば、アントラージュ効果によってCBDの効果が増強されます。
混ぜる際には溶けやすいように、CBDオイルやCBDリキッドをお湯などで温めておきましょう。
そうすることでCBDアイソレートが溶けやすくなります。
底の部分に溜まっている場合はつまようじや割りばしなどで混ぜて、溶けやすくしましょう。
使い方③:炙って吸入する
CBDアイソレートを炙って気化させ、その煙をそのまま吸入するという方法もあります。
CBDアイソレートを肺から取り込むので、効果を実感しやすいです。
CBDアイソレートを気化させるためには、粉末を気化させるための専用のヴェポライザーを購入する必要があります。
ライターで炙って気化させたり、CBDリキッド用のVAPEではうまく気化させることはできませんし、故障や事故の原因となります。
必ず専用のヴェポライザーを利用するようにしてください。
まとめ
今回は、CBDアイソレートの概要、製造方法、使い方について解説してきました。
CBDアイソレートは無味無臭の白色の粉末であるため、使用用途は多種多様です。
自分のライフスタイルや食生活に合わせて、飲食物に混ぜたり、そのまま吸入したり、CBD製品に混ぜるのもいいでしょう。
また、CBDアイソレートは様々な工程を経て製造されているので、THCが含まれていることはありません。
そのため、利用しても違法となる心配もなく、安心して利用することができます。
日本の法律を遵守したい人、CBDのみを利用したいと思っている人はCBDアイソレートを使用することをおすすめします。
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